
春の連休の終わりに、懐かしいお客様が訪ねてきてくれた。
まだ私がこの弟子屈で宿を始める前、旭川で暮らしていた頃からお世話になっている、燃料店を営むKさんご夫婦である。
当時は、灯油の配送をお願いしていたご縁だけではない。
父とともに携わっていた司法書士の仕事でも、たくさんのご依頼をいただいた。
人生のひと時を、長く共有してきた方だ。
私の父は今年九十五歳。
ここ数年、認知症の進行もあり、二年前には運転免許証を返納した。
一方でKさんは、現在九十三歳。
この連休、旭川からご自身でハンドルを握り、奥様を乗せて、はるばる弟子屈までやって来てくださった。
途中、宿の近くで少し道に迷われたそうだ。
それでも、人に道を尋ねながら、一つ一つ辿り着いてくださったという。
その話を聞きながら、胸の奥が熱くなった。
年齢を重ねるということは、できなくなることが増えていくことでもある。
それでもなお、「顔を見に行こう」と思ってくださる人がいる。
遠く離れた故郷に、今も変わらず応援してくれる人がいる。
そのありがたさに、思わず涙が込み上げた。
宿という仕事を続けていると、時々こうして、人生の長い時間が再び交差する瞬間がある。
ただ泊まるだけではない。
人と人との記憶が、静かにつながり直す場所。
今年のGWは、そんなことをしみじみ感じる時間となった。














